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第799节(第39901-39950行) (799/860)

張っていた。未来視なんてなくても、明るい未来を作ってくれたのである。

まあ、それでも、

「ところで、微妙に外れてますね」

「……面目《めんぼく》ない。まさか今日のお薦《すす》めじゃなくて、その横にあるチャ

レンジメニューを選ぶとは思わなかった」

幹也さんの未来視にはヒマワリ分が足りなかった。

この通り、限界があるのも人間らしい希望《ゆらぎ》なのでした。

/未来福音?了

[strike]4/[/strike]4/

?

では、彼の最後の話を視よう。

?

一九九八年八月三日、午前十一時三十二分。

JR観布子駅からやや離れた大型デパート、その立体駐車場の三階に、両儀式は足を踏み

入れた。

未来は既に決定されている。

この場所まで追いかけてきた時点で、彼女の死は覆《くつがえ》らない。

彼女の移動ルートが爆弾魔の視た結果から外れる事もなければ、

たまさか、気まぐれで帰る時間を早めた親子連れの姿もない。

これより一分後。

両儀式はエレベーター口から現れる、買い物袋を抱えた親子連れに意識を向け、三方から

爆散飛来する千五百個もの鋼玉を受け、附分けされた肉片となる。

彼は、それを二十メートルほど離れた大型《ワゴン》車の陰からはっきりと視つめている

[#「はっきりと視つめている」に傍点]。

人気のない駐車場。

外の世界より何段階も弛緩した空気。

橋で起きた爆破事故もここでは彼岸の話だ。

救急車の呼びかけも、パトカーのサイレンも上の空。

遍《あまね》く漠《ひろ》く差別なく。ここでは全てが、起きていながら活《い》きてい

ない。

「よう。追いついたぜ、爆弾魔」

両儀式は手にした携帯電話に語りかけて、指を離した。

コンクリートの地面に携帯電話が落ちた。

少女は背中の帯からナイフを引き抜いた。

その両眼が、

/青い光を帯びて、/

結果《みらい》を持った周囲を睨む。

駐車場に音はない。

夏の日射しが、闇のように濃い影を形《つく》る。

両儀式はナイフを手にしたまま、見えざる爆弾魔に向かっていく。

その途中、彼女の右側にあたるエレベーター口から親子連れが現れる。

一瞬の間。

彼は|遠隔操作《ばくやく》のスイッチを押す。

ほぼ同時に。両儀式のナイフが、中空を切るように閃《ひらめ》いた。

[/strike] 一秒の後。両儀《りょうぎ》式《しき》は、爆弾によってばらまかれた二ミリの鋼

玉を全身に受け、人としての原形を留めぬまま、なすすべ無く即死した。[/strike]

一秒の後。

倉密メルカの未来《しかい》は、まるで眼球を直接|袈裟《けさ》切りにされたように、

二つに断たれながら消滅した。

「っ、ぎ――!?」